エッセイ

視察旅行

平成7年頃、日弁連の民事介入暴力対策委員会に所属していた当時、日弁連の視察団のメンバーとして、ワシントンDCのFBI本部、パリ警視庁、ローマのマフィア対策本部、シチリアのパレルモ警察などを訪問しました。FBI本部では、FBI捜査官が体を張って情報犯罪組織と対峙していることの説明を受け、パリ警視庁では、捜査官は、ヨーロッパ各国の担当官と連携して、情報交換をし、国境を越えての捜査をしている状況を知りました。マフィア対策本部では、シチリアマフィアに対抗するには、シチリアの警察組織では不十分で、イタリア正規軍をシチリアに派遣して鎮圧にあたったとの話を聞きました。パレルモ警察では、マフィアの使用する車に命がけで盗聴器をしかけ、見つかれば殺されるとの現場捜査官の話を聞きました。ヨーロッパやアメリカでは、組織的犯罪に対して捜査側は、通信傍受・おとり捜査・潜行捜査・マネーロンダリング・継続監視などの手法で対抗しています。日本の場合は、捜査に新しい手法を導入しようとすると、激しい反対が起こります。例えば、組織犯罪処罰法、通信傍受法、マネーロンダリング法などの導入については、なかなか立法化されませんでした。犯罪を予防、摘発することも人権救済であるのに、日本での犯罪対策が諸外国よりも何十年も遅れていることに危惧を覚えます。アメリカ、フランス、イタリアでは、通信傍受は、当時すでに時代遅れの在来型の捜査手法となっていたにもかかわらず、私達が視察した当時、「日本は導入していないのか」と現地当局者が驚きの表情を浮かべた事の記憶があります。比較的最近では、オレゴン州のポートランドに不動産事情視察に2度行っています。不動産関連団体の視察に同行したもので、1度目は、老人ホーム施設を見て回りました。広々とした敷地に豪華な食堂、木工などの作業所、プールといった施設を見せてもらいました。富裕層の人向けではなく標準的な人たちが居住できる施設との事でしたが、日本では高額所得者でないと入れないと感じました。老後をゆったりと過ごすのにふさわしい施設ができていました。2度目は、自転車、バーベキュー、ジム、ペットなどの設備を備えた最新マンションを見て回りました。特にどのマンションもジムの設備は素晴らしく、スポーツクラブに来ているかのようでした。やがて日本でも、マンション内部に、ジムの併設、ペット、自転車施設の3点セットは付帯設備として必須になるとの予感がしました。オレゴン州ポートランドは、全米で最も住みたい場所とされる都市で、美しい街並が作られています。コロンビア川流域でとれるワインや牛肉、海にも近いため豊富な魚介類などでグルメの街としても有名です。親日な人も多く美しい日本庭園などがあります。
視察旅行は、受け入れ先があることから観光旅行では訪問できないような所へ行くことができ、専門家からの説明を受けられ、予め質問を出しておけば聞きたいことを説明してもらえるという単なる旅行にない楽しみがあります。

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